ヘアカラーによる頭皮のアレルギー症状である『ジアミンかぶれ』というものをご存知でしょうか?
もし一度でもなってしまうとヘアカラーをする都度、症状に悩まされてしまうことになる非常につらいアレルギー反応です。
自分ごとになってしまいますが、美容師という職業に就いていながらカラー剤に含まれる成分でアレルギー反応をしましてしまうようになりました。
自身の髪の毛に白髪が増えてきたので染めたいなと考えてはいるものの、やはりアレルギーに悩まされるのはイヤなのでヘアカラーをすることは控えています。
場合によっては想像もしないくらいに重症化することもあるので、ぜひ一般の方にも【ジアミンかぶれについての知識】を持っていただきたく記事にしたいと思います。
ヘアカラーによるアレルギー(ジアミンかぶれ)とは
アレルギーとは(Wikipedia)
アレルギー(独: Allergie)とは、免疫反応が特定の抗原に対して過剰に起こることをいう。免疫反応は、外来の異物(抗原)を排除するために働く、生体にとって不可欠な生理機能である。語源はギリシア語のallos(変わる)とergon(力、反応)を組み合わせた造語で、疫を免れるはずの免疫反応が有害な反応に変わるという意味である。
Wikipediaより
アレルギーが起こる原因は解明されていないが、生活環境のほか、抗原に対する過剰な曝露、遺伝などが原因ではないかと考えられている。なお、アレルギーを引き起こす環境由来抗原を特にアレルゲンと呼ぶ。最近では先進国で患者が急増しており、日本における診療科目・標榜科のひとつとしてアレルギーを専門とするアレルギー科がある。
カラー剤(染毛剤)に必ず含まれる「○○ジアミン」という成分がありまして、これがアレルギーを引き起こす原因となっています。
代表的なものはカラー剤で一番使用されている「パラフェニレンジアミン」というものです。
私の場合、これが頭皮につくことによって長ければ2週間くらい頭かゆい状態になります。
もっとひどい人だと、顔が2倍くらいの大きさに膨れ上がって試合後の辰吉丈一郎みたいな感じになる人もいます。
美容業界では「ジアミンかぶれ」と呼んでいます。
以前テレビ番組でも出てきて話題になったときがありましたが、私も実際にこうなってしまったお客様を知っています。
ジアミンかぶれが出てしまったお客様
自分が担当したわけではないので詳細はわかりかねますが、当時の担当や店長を含め揉めに揉めていました。
一度アレルギー反応が出たというお客様がヘアカラーをしたいという注文に美容師側も一度はお断りしたものの、父娘の強い要望によりヘアカラーの施術をした結果、翌日アレルギー反応が出てしまったと。
- 症状がひどく仕事に行けない
- 休職時の給与の支払い求む
その時の様子が以下。
父「以前、違うお店でしたカラーでかゆくなってアレルギーが出たんです」
美「であればカラーは控えておいたほうがいいですよ」
娘「大丈夫!大丈夫!」
美「・・・」
頭皮に薬剤がつかないように塗ったらしいのですが・・・
シャンプーをする際に頭を倒すとクッションのところで首につきます。それと、シャワーで流した薬剤が頭皮を滴ります。
その日は特別なにも起きなかったようですが、翌日顔がパンパンに腫れることに。
仕事に行けず病院へ行くとカラーによるかぶれと判明。
奥様は「どうしてくれるんだ!」と激怒。
美容師側がジアミンかぶれの話を聞きお断りをしたが、娘さんのGOサインでしかたなくした件を伝えても、当の娘さんは出てこず知らんぷり、当該人の父は何も言わず、奥様は激怒。
アナフィラキシーショックが治まるまで、しばらく会社にはいけないから損害分の支払いと医療費を求めますとのこと。裁判を起こしますとも言っていました。
結果的に事業保険を使って支払いをしています。
このようにジアミンによるかぶれが原因で美容室とお客様がトラブルになることもなくはない話なのです。
お店でもかぶれや炎症などについては予め初回カルテを書く際に〈お店は責任を負いかねる〉という内容に同意することをサインしていただいているのですが、じつはこういった同意書に関しては「法的に効力を持たない」のです。同意書のサインに関してはないよりはマシになるらしですが…。
このときは当時の店長の対応がすべて後手後手に回ってしまったことで相手が激怒してしまい、必要以上に揉めてしまいました。
どんなに丁寧に仕事をしたとしても、何かしらのタイミングでカラー剤が頭皮に流れてしまったら、それだけでアレルギー反応はでてしまいます。症状が一度でも出てしまった人と担当する美容師は、リスクを考えてヘアカラーをしない選択ができるようになるといいですね。
アレルギー反応が出た時の対策
【皮膚科に行く】
これしかないです。抗生剤をもらって治るまで安静にしましょう。
そして次回以降のカラーは絶対にしないでください。一度ジアミンによるアレルギーがでてしまった場合、次回以降も必ず反応してしまいます。
「前回は症状が軽かった」とか「思ったより大丈夫だった」とは言わないようにしましょう。いつなんとき、かぶれ方がひどくなるかなんて誰にも予想できません。
無理にしたいと言われる美容師も断るのに心がしんどくなります。
アレルギー反応が出てしまってもヘアカラーがしたいときには
私が染めるときにいつもやってた方法です。(今はもうヘアカラーはしていません)
- ノンジアミンの薬剤(ライトナー・ブリーチ剤)で髪の毛自体を明るくする
- マニキュアなどの酸性染料、もしくは塩基性の染料で色付けをする
このようにジアミンが入っているカラー剤を避けることでかぶれを出さずにカラーができるようになります。
ドラゴンボールの孫悟空さんで説明してみます。
黒い髪の毛には色を重ねても発色が見て取れにくいです。
色をつけたい場合はまずブリーチを施しましょう。
ベースの色が明るいほど色の調整がしやすくなります。
ブリーチが1回で済む人はいいですが、明るくなりにくい人は2〜3回ブリーチをする必要があります。
明るい髪の毛ほど狙った色が表現しやすくなっています。
彩度が高く、濁りが少ない色をやりたい場合はできる限りベースを明るい髪の毛にすることが大切です。
蛍光色や透け感のあるカラーはこうやって作ります。
ジアミンが入っていない染料を使うことによりアレルギーの発症を防ぎます。
ただ、マニキュアを使うことにより夜乾かし切らない頭でいると枕に色が移ったり、Tシャツなどの衣料に色がついたりします。予防としてちゃんと乾かすことと、枕やパジャマなど汚れても大丈夫なように黒などの暗めの色を選んでください。
キレイな色って意味ではなかなか難しいかもしれませんが、アルカリカラーでかぶれるよりはいいです。
信用できない美容師を見極めるフレーズ3選
「かぶれたことがある」「かゆくなったことがある」と美容師さんに伝えても、売上欲しさにかまわず施術をする人がいます。
そういったお客様のことよりも売上を優先する美容師がよく言うことが以下。
うちは地肌に付けないから任せてください
塗ってるとき付かなくてもシャンプーの時にお湯と一緒に流れてしまいます。
不可能を可能にする魔法使いのようなフレーズですが、物理的に無理です。
こういった美容師は自分がなったことがないからアレルギー反応を軽視している傾向があります。
うちのカラー剤はオーガニックで安全です
オーガニック製品であってもアルカリ染料でジアミンの入ってないものはありません。
知識が足りていないです。
心配な場合はカラー剤のパッケージを見せてもらい、「ジアミン」が含まれているかどうかを確かめさせてもらうようにしましょう。
ヘナは植物性なんで大丈夫です
たしかに天然の植物性のヘナにはジアミンは入っていません。
が、白髪を染めるヘナでブラウンやダークブラウンなどの染料が入っているものもあります。
100%ヘナと謳われるものもありますが、怪しいものが多数出回っています。
「ヘナだから大丈夫」という浅い知識しかない美容師は×です。
本当に100%のヘナかどうかはきちんと調べましょう。
自分でできるヘナもありますが、雑貨として販売されているヘナは髪の毛用ではなく、人体に使用することは法令に違反することになります。
万が一かぶれの反応が出てしまったとしても、誰も責任が負えません。自己責任になってしまいます。
まとめ
ジアミンかぶれのある自分が髪染めたということを書こうと思ったんですが、書いてるうちに知ってもらいたいことに変わっていきました。
調べればもっといろいろありますが、アレルギーの出る人は基本的にカラーを控えるようにしましょう。
万が一のことがあってはお互い大変ですし、美容院のあとの病院は悲しみ深すぎます。
もしかぶれてもいいからどうしてもカラーがしたいという人は、担当美容師さんに相談してどうすればいいか聞いてください。